“宇宙人(Cosmos People)”、超犀利趴11SUPER SLIPPAライブレポート

2020年8月22~23日、コロナ後初となる”MAYDAY主催の台湾・台北最大級の音楽フェス”「SUPERSLIPPA超犀利趴11」の開催が実現した。世界中で新型コロナウイルスが蔓延する中、ウイルスの感染状況が落ち着いている台湾ではマスク着用と実名制での入場が徹底され、「マスク姿の観客で埋め尽くされる」という前代未聞の光景が台北アリーナに広がった。

待望のアーティストのパフォーマンスを観るため、台風接近で荒れ模様の中、足を運び、秩序を守る観客の様子に感動すら覚えた。

 

1日目がバンド系、2日目はソロ系というくくりで、それぞれ約7時間に渡る音楽の祭典、“宇宙人(Cosmos People)”は1日目の3番手に登場。ちなみにこの日は、フォークロックバンドの“老王樂隊(Your Woman Sleep with Others)”、原住民歌手の阿爆(ABAO)を招いてのパフォーマンスがカッコよかった3ピースバンド“告五人(Accusefive)”、宇宙人、オルタナティヴロックバンドの“茄子蛋(EggPlantEgg)”、台湾を代表する実力派男性シンガー蕭敬騰(Jam Hsiao)率いる“獅子LION樂團”、ご存知“五月天(MAYDAY)”というラインナップ。

 

さて、宇宙人。彼らにとっては、ここ台北アリーナでのワンマン公演「你的宇宙|YOUNIVERSE」以来、約半年ぶりとなるステージ!まるで宇宙空間にいるようなメロディと力の抜けた小玉(シャオユー)の流れるような歌声と共に「不用大腦 (Brainstoning)」で幕開けだ!久しぶりの3人の生演奏に、ジワジワと喜びが込み上げてくる。

 

そして口笛のイントロといえばそう、みんな大好き「那你呢 (And You ?)」。長身でルックスも良い3人が音楽に合わせて軽やかに飛び跳ねる様子は、遠目からでも存在感抜群だ。

 

3曲目はメロウビートな「禁止觸摸 (Don’t Touch)」、失恋ソングも宇宙人の手にかかれば、こんなに爽やかで絶妙に甘酸っぱい。

 

そして、ファンが待ち望んでいた8月12日にリリースされたばかりのニューシングル「先這樣Uh!」も披露!クセになるファンク・ビートが鳴り響けば会場も自然とノリノリに。相変わらずイントロからハートを掴むのが上手い“宇宙人らしい”ファンクな楽曲は、ファンの期待を裏切らない。

 

パフォーマンスは折り返し地点、ライブに欠かせないリズミカルな「陪我玩 (Play One)」と「太空警察」はビッグバンドの演奏も手伝い、大いに会場が湧いた。

 

「這樣 那樣 (This That)」では途中、観客席と「這樣、那樣」の掛け合いが始まり、会場みんながマスク越しにアカペラで大合唱!ライブならではの楽しさを、久しぶりに思い出した瞬間だった。

 

最後はバラード「如果我們還在一起 (What If We)」で締めくくり。小玉がキーボードを弾きながらしっとりと余韻を残してくれた。

 

MCではライブが行われた22日は家賃支払い日であることを明かした小玉。「8月22日は僕にとって辛い日、呼吸するのが辛いという人もいるけど、僕は家賃を支払う方が辛い」という小玉に、方Q(ファンキュー)は「みんなようやく手にしたライブのチケットだから、嫌なことは忘れて楽しんでね。家賃も払わなくていいから。」と会場の笑いを誘う場面も。

 

小玉の癒し系ボイスに、クールで力強い阿奎(アークェ)とキュートな学長こと方Qが奏でるギターとベースの美しいリズムと旋律。息の合ったアンサンブルで、宇宙人ワールドを堪能できる楽曲を次々に聴かせてくれた。

 

最後に、ライブパフォーマンスを終えた宇宙人のメンバーから日本の“宇宙友”へ一言ずつ。

 

小玉:「宇宙人と日本の“宇宙友”の間でまだ果たせていない約束が1つあります。現状が好転し、またお会いできるのを楽しみにしています。」

 

阿奎:「みなさん防疫措置に協力してくれてありがとう。早くコロナが収束することを願っています。“宇宙友”のみんなが恋しいです。」

 

方Q:「幸いにも台湾のコロナ感染状況が落ち着いており無事にコンサートが開催されましたが、これは決して容易なことではありません。大勢の人の努力に感謝しなければなりません。僕も1回1回のステージを更に大切にこなしていきます。早くみんなに会えるといいです。」

 

 

文:fumi、福岡智彦 [いい音研究所]

写真提供:相信音樂